ChatGPTって本当に使えるの? ~ChatGPT製造業活用|造船業での導入事例(フィクション)と使い方解説~
前回は、ChatGPTを業務に“本気で使う”ための第一歩とは? ~失敗しない導入チェックリスト付き~ をご紹介しました。
とはいえ、「興味はあるけど、実際の業務でどう使えばいいのか分からない」と感じている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、ChatGPTを現場でどう活用できるのかを、仮想のシチュエーションを通して具体的にご紹介します。
この記事では、今治市をはじめとする地方都市に多く見られる中小製造業や個人事業主の方々を想定しています。
ただし、マニュアル整備が進んでいない環境や属人的な業務が多い現場では、企業規模を問わずChatGPTの活用が効果的です。
「専門知識がなくても」「ChatGPT単独で」「気軽に試せる」
そんなシーンをイメージしながら、造船業を題材に3つの仮想ケースをご紹介します。
目次
注意事項(すべての事例に共通)
使いどころ1:作業報告を“読みやすく整える”
よくある悩み
- 作業報告の書き方に個人差があり、情報整理に時間がかかる
- 略語や専門用語が多く、他部署やお客様には伝わりにくい
- 上司や管理担当が、報告内容を“読みやすく直す”のに時間を取られている
ChatGPTの活用イメージ(仮想事例)
「今日は船底ブロックBの立上げ完了。溶接後NDTやったけど異常なし。明日からCに着手予定。」
ChatGPTへの依頼例(プロンプト)
「以下の作業報告を、丁寧で分かりやすい文章に整えてください:
『今日は船底ブロックBの立上げ完了。溶接後NDTやったけど異常なし。明日からCに着手予定。』」
ChatGPTの出力例
本日、船底ブロックBの立ち上げ作業を完了しました。
溶接後に非破壊検査(NDT)を実施しましたが、異常は確認されませんでした。
明日からはブロックCの作業に着手する予定です。
活用のメリット
- 報告内容を整える負担が軽減される
- 他部署や顧客にも伝わる文章になりやすい
- 報告フォーマットの標準化が進み、共有・記録が楽になる
使いどころ2:現場特有の言い回しや略語を“誰でも理解できる表現”に変換
よくある悩み
- 現場スタッフの表現がそのままだと他部署や外部に伝わらない
- 略語や業界用語が多く、共有資料の翻訳・調整が発生しやすい
- 顧客や協力会社に誤解を与えることがある
ChatGPTの活用イメージ(仮想事例)
「Aブロック、今日午前で台付け完了。午後から根付けスタート、明日いっぱいでケリつく予定。材料はストックで問題なし。」
ChatGPTへの依頼例(プロンプト)
「以下の作業進捗文を、事務部門や営業担当にもわかりやすい文章に整えてください:
『Aブロック、今日午前で台付け完了。午後から根付けスタート、明日いっぱいでケリつく予定。材料はストックで問題なし。』」
ChatGPTの出力例
本日午前中に、Aブロックの土台部分の設置作業を完了しました。
午後からは仮止め溶接に入り、明日中には仕上げ作業を終える予定です。
必要な材料については倉庫に十分な在庫があり、支障はありません。
活用のメリット
- 技術者以外にもスムーズに情報共有できる
- 顧客や協力会社にも、技術内容や現場状況が伝わりやすい表現に変換できる
- 書き直しの回数が減り、時間と労力が削減される
使いどころ3:複数の報告を“整った1つの文章”にまとめる
よくある悩み
- 複数の作業報告をまとめるのが面倒
- 表現や用語がバラバラで、統一感がない
- 報告書に転記・整理する作業が地味に時間を取る
ChatGPTの活用イメージ(仮想事例)
- Aブロック、立て起こし作業は完了。歪み確認済。
- バルクヘッド部は仮組み中。ピースに若干の隙間あり。
- 裏なみ確認済。規定内。裏はつり不要。
ChatGPTへの依頼例(プロンプト)
「以下の3つの作業報告を、1つの整った報告文にまとめてください:
・Aブロック、立て起こし作業は完了。歪み確認済。
・バルクヘッド部は仮組み中。ピースに若干の隙間あり。
・裏なみ確認済。規定内。裏はつり不要。」
ChatGPTの出力例
Aブロックの立て起こし作業は完了し、歪みも確認済みで問題ありませんでした。
バルクヘッド部については現在仮組み中で、一部ピース間にわずかな隙間が見られたため調整中です。
また、溶接部の裏なみについては確認の結果、規定内であり、裏はつり作業は不要と判断しました。
活用のメリット
- 断片的な報告も、整った文書に自動でまとめられる
- 報告書や週報への転記・編集の手間が大幅に減る
- 書く側も読む側も“整った状態”を前提にやり取りできるようになる
番外編:新人教育にも使える?ChatGPTで「現場の当たり前」を“伝わるマニュアル”に
よくある悩み
- 新人に何度も同じことを説明している
- 作業手順を言葉にしろと言われても、どう書けばいいか分からない
- OJTの“口伝え教育”に限界を感じている
ChatGPTの活用イメージ(仮想事例)
「図面見て、番号合ってるかまず確認ね。違ってたら勝手にやらんとリーダーに報告。
あと、基準線ズレてたらまっすぐ合わせてから、軽く仮付けな。」
ChatGPTへの依頼例(プロンプト)
「以下は、現場で新人に説明している作業手順です。
内容をわかりやすく整えて、新人教育用の簡単なマニュアル文にしてください。
『図面見て、番号合ってるかまず確認ね。違ってたら勝手にやらんとリーダーに報告。
あと、基準線ズレてたらまっすぐ合わせてから、軽く仮付けな。』」
ChatGPTの出力例
【新人向けマニュアル:ピース確認と仮付け作業の基本】
- 作業前に図面を確認し、各ピースの番号が一致しているかチェックしてください。
- 番号が異なる場合は、作業を進めずリーダーに報告してください。
- 基準線がずれている場合は、正しい位置に合わせた上で、軽く仮付けしてください。
応用パターン
- 複数のベテランからヒアリングした作業メモを、1つの手順書にまとめる
- 過去のトラブルや注意点を「よくあるミス」として一覧化する
- 教育担当者がChatGPTと一緒に「Q&A集」「声かけ例」「注意喚起文」などを整える
活用のメリット
- ベテランの「経験の言語化」をサポートできる
- 何度も説明する手間を省ける
- 文書に残すことで社内共有や教育資料としても使える
最後に:ChatGPTは“整える”ところから始めよう
ChatGPTは、作業指示や業務そのものを完全に自動化するわけではありません。
しかし、「書く」「伝える」「整える」といった日常業務のサポートにおいては、非常に頼れるパートナーです。
特に製造業の現場では、「言葉にするのが苦手」「報告の内容が毎回バラバラ」といった小さな困りごとが多く存在します。
その“ちょっとした面倒”にAIを使うことで、大きな改善が期待できます。
いきなり高度な使い方を目指す必要はありません。
まずは「何度も繰り返している」「他の人に説明が難しい」そんな業務を一つ選んで、ChatGPTに任せてみてください。
それが、あなたの現場におけるAI活用の第一歩になります。
まずは気軽に試してみたい方へ
「うちの業務でも本当に使えるのかな?」「まず何から試せばいい?」
そう感じた方は、そう感じた方は、前回の記事 ChatGPTを業務に“本気で使う”ための第一歩とは? ~失敗しない導入チェックリスト付き~ もぜひご覧ください。もぜひご覧ください。
ChatGPTの導入は、一部の先進企業だけの話ではありません。
むしろ、マニュアルが整備されていない現場や、属人的な業務が多い環境にこそフィットします。
具体的な業務に落とし込んだアドバイスをご希望の方は、お問い合わせフォーム または、下記メールからお気軽にご相談ください。
メール:guide-2024@outlook.com
▶ 次回予告|小売業編も近日公開!
次回は「小売業編」をお届け予定です。
商品説明文やSNS投稿文の改善など、日常業務の中でChatGPTがどんなふうに役立つのか、こちらも仮想事例を交えてご紹介します。
「うちのお店でもできそう」と思っていただける内容をお届けしますので、どうぞお楽しみに。